最近の彫金作品をご紹介。
まずは、友人からもらったローマングラス。
古代ローマの雰囲気を出しつつ、衝撃に弱いガラスをちゃんと保護できるようなものにしたくて
格子のある窓をイメージしたリングに仕立てました。
ローマングラスを留める前に格子デザインのモチーフを一点だけロウ付けし、
ローマングラスを留めた後にかぶせるように押さえています。
後付けの格子、適当に作った割にはまぁまぁピッタリサイズだった(笑)
ローマングラスを透かしてみると、窓から入る明かりみたい。
ちょっとステンドグラス風にも見えたりして、とっても綺麗♡
相変わらず作りは荒いけど(苦笑)、雰囲気あるリングが出来て大満足です。
さっそくローマングラスを譲ってくれた友人に自慢しまくり~
続いて勢いに乗って完成したのは、金貨のリング。
(金貨といっても本物の金ではなく、シルバー925製のレプリカですが)
この金貨はイタリアで1252年から1523年まで鋳造された金貨で、
フローリン金貨、フィオリーノ金貨とも呼ばれています。
片面にフィレンツェの街の紋章が、反対側にはフィレンツェの守護聖人である
ラクダの皮衣をまとったバプテスマの洗礼者ヨハネの像がデザインされています。
個人的にフィレンツェの紋章が大好きなので、こちらを表にして留めました。
中世のフィレンツェ市民は子供が生まれたときの幸運の印として、
「明日の1000枚のフローリン金貨のために、
今日1枚のフローリン金貨を」とお祈りしながら
フローリン金貨を1枚寄付するのが習慣だったと言われています。
通貨として、幸運のお守りとして、
当時の人たちにとって大切なものだったのでしょうね。
なんとなく、要塞のようにゴツイ感じにしたくて
宮殿の塀のようなデザインに。
金貨の大きさとのバランスを考えると、リングにするのには少々無理があったかな(今さら!)
でも、なぜかぺらぺらのコインリングにはしたくなかったので、
これはこれでカッコいいリングが出来たと納得しています。えへへ。
最近は老眼と指先事情により、なかなか細かい細工が上手くできなくて
ちょっとスランプ気味・・・
でも、通っているアトリエの先生の一言で一気に気持ちが高揚しました。
「ええやんええやん~、”出土系”って感じで」
出土系って何!?(笑)
そう、なんだか外国の遺跡とか古い建物とか海底から発掘されたような、
そんな雰囲気を纏ってるよね、って。
たしかに、
ローマングラスは紀元前のローマ帝国の時代から地中に長い年月を過ごして出土されたものだし、
フローリン金貨も、レプリカとはいえ13世紀からルネサンス時代のもの。
たまたまそういうモチーフが続いただけかもしれないけど、
自分が好きな世界観を感じ取ってもらえたことがすごくすごく嬉しい!
出土系ジュエリー。
アンティークやヴィンテージよりももっともっと長い時間を繋ぐジュエリー。
これから真鍮で作る私のデザインジュエリーを「出土系ジュエリー」と呼ぶことにします(笑)
私が作るものはなんとなく、イメージだけでフィーリングと妄想と勢いで作る作品。(下書き一切なし)
ある意味、(下手すぎて)プロの方や職人さん、3DCADでは作れない荒々しさと手作り感。(言い方よ)
外国の観光地の片隅で風変りなお爺さんがコツコツと暇つぶしに作ってるような・・・
実はそのお爺さんは過去から異次元の世界を旅してたりして。
そんな雰囲気を纏った作品になれば面白いなぁ。
自宅にアトリエスペースも作ったことだし、
スランプなんかに負けずイメージ力を発揮して、どんどん手を動かしていきたいと思います!