「要望に応えて作る」がテーマの今年の彫金作業。
自分が着けたいジュエリーではなく
贈りたい相手をイメージして作るジュエリーにも挑戦しています。
まずは、初夏に誕生日を迎える友人のためのジュエリーを・・・
いつか彫金に使おうと気に入ったものをコツコツ集めていた
天然石のルースの中からひとつ選んでもらって
リングやペンダントなどの希望のカテゴリーを聞いて
今回は レピドクロサイトの浮かぶアイオライトで
ペンダントトップを、ということになりました。
さて、「贈りたい相手をイメージして作る」
かっこよく言ってみたけど
まあなんて難しいこと！！（笑）
何が似合うかな？
シンプルな方が好きかな？
いや、でも何かポイントになるモチーフも入れたい
作るのはＷＡＸ？地金？
いろいろ悩みすぎて考えがまとまらず
なかなか作業が進みませんでした（笑）
具体的なイメージを考えるより
今の友人は どんな気持ちで過ごしているだろう・・・
何がそばにあれば心強いかな・・・
そんなふうに視点を変えて
「デザイン」より「友人の心」を考えるようにしました。
以前会ったときに話してくれた近況のなかで
故郷の家の桜の木のことを語ってくれたことを思い出しました。
庭に植えていた、小さいころからずっと見てきた桜の木・・・
家を引き払う前に写真に収めた・・・と
少し寂しそうに話していた友人。
モチーフとしてはよくあるかもしれないけど
私なりに、かつての友人の家の桜を思い浮かべて
デザインすることにしました。
表は ごくごくシンプルに。
そして桜は、裏面に・・・
バチカンにも桜を彫って 手作りしました。
この小さなバチカンに桜を彫るのは至難の業でしたが（笑）
ようやく形に出来たペンダントトップ。
なんとかゴールデンウィークの終わりの誕生日にも間に合いました！
モチーフの桜に込めた願い・・・
故郷の家をずっと見守ってくれた桜の木のように
このペンダントの桜が これからの友人を慰め
幸せな思い出とともに 守ってくれますように・・・
「贈りたい相手をイメージして作る」
それは技術や自己満足の達成感よりも
相手のことをじっくり考えることが一番大切なんだな・・・と
「要望を聞いて作る」ということとはまた違う難しさと
「作る」ということに必要な大切なもの・・・を感じた作品になりました。
