リングのリメイク

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趣味で続けている彫金は月に1~2日しか行けないので

なんとかれこれ半年もかかってやっと仕上がった今回の作品。

20160707b

それは、NYの友人から預かったリングのリメイクです。

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壊れてしまったリングが届いたのは 年明けすぐの頃。

アーム部分がぱっくり折れてしまっています。

 

このまま使えなくなってしまうのも勿体ないので・・・

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デンドリティッククォーツのルースを取り外して

新しいリングにリメイクすることにしました。

(ルースは接着されているだけだったので簡単に外れました。)

 

まずは、ルースの形に合わせてWAXで型作り。

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実はこのルース、平らな部分がなく

横からみるとどら焼きのような形になっていて

ルースに合わせた型作りに 意外に時間がかかってしまいました。

初心者には難しい形だったわ。

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なんとか鋳造までこぎつけた。

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よし!ぴったり収まる!

 

そして アーム部分に装飾を施すデザインを考えていたのだけど

ルースの個性を主役にするためには

アームはシンプルなデザインに・・・と考えて

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シルバーの細い棒を2本、同じ大きさの輪にして

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ロウ付け。

 

開いた部分を切り取って ルースの枠をはめて

枠とアームを 4点の接点で ロウ付け。

 

しかし、この4点の接点、

少しの角度や位置のズレで サイズが大きく変わってしまうという

実は 最大の難関だったのです!

 

案の定、サイズが合わず・・・

枠の裏面を削ったり アームを叩いて伸ばしたり

1~2日かけて頑張ったけど 思うようにサイズが伸びず

結局、切り目を入れて シルバーを足して

サイズを合わせ直しすることにしました^_^;

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右上の小さなシルバーの板をあの隙間に合う大きさ・形に削ること

丸一日(笑)

こんな小さい欠片、削ると言っても

持って支える手も やすりを掛ける手も思うように動かないわ!!(笑)

 

で、

なんとかぴったりの大きさに削り合わせたら またロウ付け。

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はみ出した部分を滑らかに磨いて

今度はやっと サイズもぴったり!

 

ここまで来たら、あとはルースを留めるだけ!

やれやれ。

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・・・・が・・・・

ここでもまた 予想外の事態。

 

なかなかルースがピタッと留まってくれません。

 

一日目、2時間かかってなんとか外れないところまでは押さえたけど

まだカタカタと動く音。

 

2週間後、もう一度石留めにチャレンジです。

 

叩くこと、3時間半・・・

 

 

ようやく、がっちりと留まってくれました!

 

石留め 合計5時間!!

 

このルースを留めることができたら

フィレンツェで修行した石留め職人に負けないかもしれないわ、と妄想したり(笑)

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今回の工程を振り返ると・・・

枠とアームを別々に作らずに 最初からWAXで全部の型を作れば

サイズ合わせの苦労も少なく、その分デザインを考えたりするところに時間をかけて

もう少しお洒落なデザインで出来たかもしれないな・・と後悔。

 

元のデザインと比べると

 

やっぱりシンプルすぎたかな・・・^_^;

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↑ もとのデザイン。

これはルースを留めてるんじゃなく接着してるので

こんな薄い枠のデザインだったんですね。

かなり包み込む形でないと 留まらなかったもん!

 

 

20160707b

でもまあ、なんとかこれでリメイク 完了!!

 

まずは、持ち主の NYの友人からもらった乳香(フランキンセンス)や

海で拾ってきてくれたシーグラスやサンゴを飾って 記念撮影。

 

そして次は 音楽が好きな友人のイメージで

楽譜の上に置いたバージョンも撮影してみました。

 

友人のリングのリメイク。石はデンドリティッククォーツ。ルースの形状が特殊だったので、シンプルなデザインに。素材:シルバー925

うふふ、リングに合わせたイメージで撮影するのって楽しい♡

 

 

いや~~しかし、今回思ったこと。

 

サイズ合わせや 持ち主の使い勝手を考えたデザイン、

ルースの形に合ったデザイン・・・

 

どこにどれだけの時間を費やすか・・・

 

最初から全部考え抜いて制作するってことが

どれだけ大切か。

そこまで考えて作ることが どれだけ難しいか。

 

自分のだったら、途中でやりかえたり 妥協することもできるけど

誰かのために・・・ってなると、そうもいかない。

 

 

今までの作品とはまったく違って

「仕上げる」「作り上げる」というところのゴールに向かっていく

長い時間をかけて得たものは とても大きかったな。

 

 

物質的にはたったひとつのリングだけれど

 

最初にリングが作られたストーリー。

友人の手に渡ったときのストーリー。

友人とともに過ごしたストーリー。

壊れて蘇った 今回のストーリー。

 

このリングには こうやって いろんなストーリーが増えていく・・・

 

ジュエリーって

こんなふうにストーリーを綴っていく

一冊の本のようなものなのかもしれませんね。

 

 

そんなジュエリーたちのストーリー作りのお手伝いができるよう

まだまだ腕を磨いていきたいと思います☆