小さい頃に見た昔話を思い出していました。
山の中で ある仙人を助けた二人の男がいました。
仙人はお礼をするため、住処である洞窟に二人を案内します。
その洞窟の中には、無数の蝋燭の炎が揺れていました。
蝋燭は 人の命を示していて
炎が消えるとき 人の命も消えてゆきます。
仙人は その無数にある蝋燭を見守る
いわば、「命の番人」 だったのです。
助けてもらったお礼に 二人の蝋燭を付け足して
寿命を延ばして差し上げよう、と仙人は言いました。
二人は、大喜びで帰って行きました。
それから何年も時が過ぎ
ある不幸な流行り病いで 二人の命が尽きようとしていました。
一人の男は思いました。
「 あのとき寿命を延ばしてもらったおかげで
大切な家族と 一分一秒でも長く一緒に居ることができた。
本当に有難い・・・」
もう一人の男は思いました。
「あのとき 寿命を延ばしてくれると言ったのに
俺はまだ好きなことをやり残したまま こんな病いで死んでしまうのか!
あの仙人はきっと 嘘をついたんだ。」
やがて 二人の蝋燭の炎が消えて 命が尽きました。
当時 子供心に、
どちらの気持ちもわかるような気がしたのです。
同じだけ寿命を延ばしてもらったはずなのに
片方は自分の人生と仙人に感謝して旅立ち
片方はまだ死にたくない、騙されたと恨みながら旅立って行く。
でもそれは
それぞれの男が どう生きてきたか・・・
そして 仙人の言葉を 信じ抜くことができたか、によって
変わっていったのだと思うのです。
最後の瞬間まで 仙人を信じて感謝した男。
最後まで信じ抜くことができずに 恨みに変わってしまった男。
信じる、だけではなく
信じ抜くこと。
「 信じ抜く 」 ことができたその先にあるのが
感謝の気持ち なのかな・・・と
今日
小さい頃に見た昔話を思い出していました。
私の天使コレクション: 物語を聞かせてくれる吟遊詩人天使。