忘れえぬ人々

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今日7月15日は 

詩人・小説家の国木田独歩の誕生日だそうです。

国木田独歩と聞いて思い出したのは、

遠い昔に読んだ 「忘れえぬ人々」 という小説。

タイトルにある「忘れえぬ人々」とは、

忘れても全然構わないのに 

なぜか忘れられない人のこと。

 
特に何がという魅力があるわけでもなく、

ごく平凡な ただふと日常のなかに見かけただけの人。
自分とはほとんど何も関わりのない人物。

 
正確にいうと、それは

「自分のそのときの心を映し出したような風景の中にいる人」 のことなんですね。

あくまでも心を表現した絵画のような「風景の一部」。

その「風景の中に居る人々」 と 

「自分」との違いは何なんだろう・・・

 

みんな天から生命(使命)を授かって、

いろんなことを覚えて、経験して、学んで、

そしてみんな同じようにまた無窮の天に還って行く・・・

 
天に還って行くとき
その時は 実に 我もなければ他もない、

ただ誰れも彼れも懐かしくって忍ばれてくる。

「ぼくはこのときほど心の平穏を感ずることはない、

このときほど自由を感じることはない、

名利競争の俗念が消えて 

すべてのものに対して 同情の念が深くなる」 

 

という主人公の言葉。

 

「みんな同じ 無窮の天から来た仲間じゃないか。」

 
明治時代、うんと昔の小説の中に 
なんだか深い 輪廻転生や自然調和の思想を見たような気がしました。